▼リセット。












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ザザザ、と壊れたラジオのように明瞭にならないノイズにあふれた世界観。










いつの事だっただろうか。





私は少し太めの木の枝にまたがって、





にゃーにゃーと弱弱しい声で鳴く子猫を、


壊れ物でも触るように何とか小さな腕の中におさめていた。




その木の上から眺めた赤く色づき始めた葉の向こう。






それを見れば、あまりにも視点が高くなりすぎたことを示す小さな景色が広がる。











いつも乗っているブランコも、滑り台も、シーソーも、その木の上から見ればまるでただの積み木のようで。









―――降りられない。






幼い私はどうすることもできずに猫を抱えたまま、



ぐしゃぐしゃに顔をゆがめていく。









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