▼リセット。
「…ッ!!」
波紋を立てて広がったそれは、溺れかけた私の思考を正常に引き戻すのに十分だった。
黒い神様は、彼を生き返らせるには「代償」が必要だといった。
初めて聞いた時には耳慣れないと感じたその単語。
今はすんなりと心に落ちてしみこんでいく。
「…ああ、そっか」
「―――――私次第、なんだ」
凍り付いた心臓が融解していく。
はあ、と大きく息をついて
眠ったような涼ちゃんの亡骸にキスをした。
ぬくもりの消え去ったその唇から離れたのち、壊れた懐中時計に手を伸ばす。
床から拾い上げられたそれはガラスの破片を一つ二つ床に落としてから、私の願いを受け入れるように怪しげな光を放った。
これで最後にするから。
あともう一回だけ。
わがままを、聞いてください。