黒薔薇




あたしは自分自身に驚いて、ぼーっとしていたみたい。


「どうかした?梨矩。」


心配そうな顔で、星樹がのぞき込んでくる。


「え、あ、いや、なんでもないよ。」


「そ?」


「…うん。」


あたしがその感情に気づくのは、もう少しあとのこと。



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