Cry & Smile
第1章
先輩と別れてから、はや1週間がたった。

私の心のキズはまだ癒えていないのに……、

「ごめん川坂、ボールそっちいった!」

先輩はもう、とっくに吹っ切れているみたい。付き合ってるときは、美桜って呼んでくれてたのに……。もう他人みたいになっちゃったみたいで、胸が痛んだ。

私はまだ、別れたという実感がなくて、直哉先輩と呼んでしまう。ううん、別れたって認めたくないんだ。
未練タラタラだなあ、私。

「川坂、どうした?」
「ーーーなんでもないですよ!」

泣きそうになるのをなんとか笑顔でごまかし、ボールを渡した。

……あのとき、どうして先輩を呼び止めなかったんだろう。

なんで急に別れようなんて?
まって、行かないで!!

あのときなんて声をかけたら、別れなくてすんだんだろう……。
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