ぼくらのせかい



そう言って私の手を握る。


三年間の記憶がないから、ハチにとっては自分はまだ中学生。
それがある日突然、知らない学校の高校二年生だなんて言われたら混乱するに決まってるよなあ。



「もうこの際僕も女装してサチの学校に…」


「いくらハチが女顔だからって無理あるよ」


「女顔って…そんなはっきり…」



軽くショックを受けているハチの手を軽く握り返して、
ふりかえるハチに軽くキスをする。



「…不意討ちだねサチちゃん」



そう言うとハチはいつももう一度キスをしてくれる。
甘い甘い笑顔で。




ハチの笑顔もキスも体温も
甘くて甘くて、はちみつみたい。





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