ぼくらのせかい


それからの日々は目まぐるしく過ぎ去っていった。
僕は橋から落ちて岩に頭をぶつけたらしい。

それが半年も目を覚まさなかったというのだから、もうみんなは僕が死んだものだと思っていたのだろう。
目を覚ましたことへの驚きようはすごかった。




驚いたことに、僕の知っている時代から三年もの時間が過ぎていた。
どうやらこの女の子とは三年前に出会っていたらしい。


一度だけ、親に女の子のことを聞いてみたことがあるが、言葉を濁された。
もしかして僕のコイビトと僕の家族はあまり仲良くなかったのかな?と思い、
あまり深く追及はしなかった。





女の子は常に一緒にいてくれた。
リハビリの間も、復帰してからも、ずっと。
すぐに海外に行ってしまった親に代わって僕のお世話をしてくれる。



いつも優しくて、温かくて、柔らかくて

そんなアマミヤサチコは

きっと僕にとって本当に愛しいひとだったのだろう。



一緒にいると胸が温かくて、でも苦しくて、典型的な"恋"だなあとぼんやり思った。







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