ぼくらのせかい
第五章
「えー、じゃあハチくん治療始めたんだ?」
「うん…」
昨日はハチの雰囲気に押されてしまい、そのまま話はできなかった。
ナミちゃんとお昼ごはんを食べながら昨日のことを話す。
「ってなに、さっちゃん、嫌なの?」
「え、なんで?」
「なんでって…ものすごく複雑そうな顔してるよ?」
眉間にシワ、と言われて私は鏡を見る。
…ひどい顔だ。
「どうして嫌なの?思い出してほしくないことでもあるの?」
他人のことにずけずけと踏み込んでくるナミちゃん、嫌いじゃない。
むしろこういうところがあるから、本音で話せる友人なんだろう。
「思い出してほしくないことね…」