ぼくらのせかい
「ハチ、大丈夫?」
「ん、大分よくなったよ。ありがとう。」
ハチの額に乗せていたタオルを取り替えると、ふわりと笑うハチ。
「ね、あの本…」
「あれは人から借りたものでね、最近借りたものだから見間違いじゃないかな?
そんなに無理しないで。私は今のままでも十分幸せだよ。」
あの日記だけは、ハチに見られてはいけない。
もう一年前の二の舞は踏みたくない。
そう考えていると、ピンポーンとインターホンが鳴る。