ぼくらのせかい
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僕には、大切な記憶がない。
あんなに温かくて可愛いサチとの記憶がないなんて、なんだかすごく勿体なくて
記憶を取り戻そうと決意したんだけど
「なんか、変なんだよなあ…」
「なにが変だって?」
心の声が出ちゃってたみたいだ。
隣の席の大地くんが首をかしげている。
「いや、ごめんこっちの話。それよりいつもノートありがとね。おかげさまでなんとか高校生レベルになれた気がするよ。」
はい、とノートを大地くんに渡すと、
「いやいや、嘉川はもう十分だよ。記憶のある俺よりテストの点数良いってなんなんだよ。」
と僕を恨ましげに睨んだ。
それは大地くんが悪すぎるのでは、とバツばかりのテストを眺めながら思っていると
「あれ?」