ぼくらのせかい
ハチは一年と少し前、近所の橋から落ちた。
橋の下は浅い川で、
岩に頭をぶつけ、約半年もの間目を覚まさなかった。
医者もハチの両親も、はじめは希望を捨てなかったものの、
3ヶ月を越える頃にはもうハチはそのまま目を覚まさないと諦めていた。
だけど私は何故か
どこかで、必ずハチは目を覚ますと確信していた。
特に根拠はなかったが。
ハチが目を覚ました時、周りの人は言葉を失うほどに驚いていた。
私はただハチの色素の薄い瞳を見つめていたような気がする。
ハチは一番はじめに私を見て、言葉を発した。