ぼくらのせかい
第九章
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知られてしまった。ハチに。
ハチが出ていった扉を呆然と眺めながら、
ハチと出会ったあの頃を思い出していた。
私がハチの隣に引っ越してきた時、まだ中学生に成り立てだった私たちは、あまり関わりを持っていなかった。
ある日、いつもの様に学校を終え、ハチの両親の目につかない様に自分のアパートに入る。
玄関を開けた時、突然声が聞こえた。
「雨宮さん!ちょっとかくまって!」
「は?」
初めてハチとした会話だった。