ぼくらのせかい





ハチは、私と出会った約3年前から
橋から落ちたあの日までの記憶を失っていた。
それはもう、すっぽりと。



だけど不思議と悲しくはなかった。
ただそこにハチが目を開けていることだけで
私はもう十分だったのだろう。




「雨宮幸子。あなたのコイビトです。」




その日からまた、始めればいいだけだと思ったから。



< 7 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop