神様いけませんか?
キャッチ?

そう思って、立ち尽くしているとその人があたしに傘を差し出した。


「風邪ひいちゃうよ?」

「別にいいし」

あたしはそう言った。

「もう遅い時間だし、家族の人が心配するよ?」

この人はそう続けた。


「家族なんていないから!」

そう言って差し出された傘を突っ返した。

その人はちょっと悲しそうな顔をしながらまたあたしに傘を差し出した。

「本当に風邪ひくと困るし…。良かったら俺の家来る?手怪我してるし」


どうせあたしの身体が目的なんでしょ?

その時そう思った。

そう思っていたのにかれを突き離さなかったのはなんでだろう。
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