あの日の桜は。【大幅修正中】
プロローグ

暖かな春の陽だまりに包まれて、大きな桜の木の下で少女が眠っている。

生暖かい微風が吹くたびに桜の花弁が舞い、少女の黒髪を色づけていく。


「なぁ、ここで何してんだ?」

すると、丘の裏側からやってきたのか、いつのまにか一人の少年が少女の前に立っていた。

少女よりいくつか年上だろうか。

少女はゆっくりと目をこすると、眠たそうに少年を見上げた。


「見てわからない?寝てたの」

少女は少しムっと不機嫌そうに言い放つと再び瞳を閉じようとした。

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