あの日の桜は。【大幅修正中】
「久しぶりだな、莉子」
奥の部屋から珈琲を片手に持って出てきた玲が微笑みを向けた。
何も変わっていないその表情と、容姿に少しほっとする。
と同時に、妬ましく思った。
20代という若さと、その昔から変わらない端正な顔立ちが羨ましい。
前のような金色の髪なんかじゃなくて今は、落ち着いたこげ茶色になっている。
「ええ、久しぶりですね。理事長」
敬意と嫌みを込めて玲になんて使ったことのなかった敬語で返す。
玲がソファに腰をおろしたので私も向かいあうように黒いソファに腰を下ろした。
座り心地のよさと革製品であることを考えるとそれは、それは、お高いのだろうと思う。