夜空のコンビニ ~HとSの本~
ガーッ、と自動ドアが開く。入ってきたお客様は、よくよくここに来てくれる星の人たち。

まずは元気よく、いらっしゃいませの挨拶を。

「本日は何をお求めでしょうか?」

「えっとですね、宴会用にお菓子とか買いたいんですけど」

「私はもてなすためにお料理をするんです。ケーキの材料は何処でしょうか?」

「ぼくはパーティ用のゲームがほしいんです。何かいい物はありますか?」

「ハイ、ありがとうございます。それではご案内させて頂きますね」

どうしてか、私はお客様の案内をするようになっていた。この人たちは顔馴染み、とても仲がよくて週に何回も来てくれるお得意様。

コンビには小さいけれど、中は広い。

お客様の要望にこたえるため、日々新しい物が入荷する。求める物が手に入らないことなんてない、ここはそんなコンビニだから。

「いい買い物ができました」

「これでみんなに喜んでもらえるね」

「さあ、腕が鳴るよ」

「ありがとうございましたー」

自動ドアが閉まる。そうすると静寂がひしひしと感じる。気分転換に音楽を流したいけれど、知らない曲を流しても楽しめない。

自慢ではないけれど俗世間には疎い。流行の曲とか、流行のファッションとか、流行語とか。

ええ……こんなところに四六時中いては疎くもなりますよ。
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