夜空のコンビニ ~HとSの本~
ガーッ、と自動ドアが開く。入ってきたお客様は、

? 初めて見る人だった。

青い光は今までの星の人たちとは違う、多分、流れ星の人ではないだろうか。

珍しい。急いで急いで先を目指す方々が、こんなところに寄ってくれるなんて。

「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか」

「………………」

「? あの……」

流れ星の人はきょろきょろと見渡して、決して奥に入ろうとはしなかった。

どうしたのだろうか。

レジの中から出ようとして、

「……やっぱり、ここにもない」

「――――はい?」

「すみません、用はないです」

ガーッ、とドアが閉まった。

キラキラと、その人が通った跡が光っていた。

……どうしてだろうか。ひどく、気分が悪い。

腹を立てているんじゃなくて、

素っ気ない態度に悲しんでいるんじゃなくて、

わからない。
胸の奥が、グルグルしている。

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