あんず~泣き虫な君へ~
「…ふぅ。やっとついた」

私は自宅から、自転車と電車を乗り継いで、約30分ほどの道のりを進み、やっとの思いで、入学を希望する高校へとやってきた。


「あのーすみません。」

見知らぬ土地の見知らぬ建物。
繁華街のすぐ隣に建つ、高校とは思えないオフィスビルに私は恐る恐る踏み入れたのだった。


「こんにちは。」

ドアを潜ると、少しぽっちゃしてるがとても優しそうな男性が声をかけてきた。

「あの、体験入学の予約をしてました、秋風 詩ですが。」

「秋風さんだね。待ってたよ!」

男性のその声にやっと、ホッとし肩の荷が少しおりた。
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