あんず~泣き虫な君へ~
案内された部屋は、いかにもオフィスの事務所といったような部屋で、私はまた少し緊張してしまった。


「じゃあここに座ってね」


男性は相変わらずニコニコしている。


「じゃあ、まずは自己紹介からしようか!」

男性は、私が座ったのを確認して言った。

「はい。えっと秋風です」


男性は手元に持っていた、私の体験入学希望の時に出した、資料を見た。


「えっと、下の名前は うた さんでいいのかな?」


「はい。」


嫌いな名前を呼ばれ、少し私は目を伏せながら答えた。


「いい名前だね!」


「いえ、そんな事は。」


「そうかな?俺はいい名前だと思うよ!」


複雑な気持ちになった。
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