自由を求めて
「うん、けどなんか話があるみたいだし、だから帰るね」
「そっかぁ、…よしっ、じゃあ送ってく!ね、いいよね恭くん?」
「……チッ」
「おっけー!行こ!」
今のを了解ととったのか…?
「なら俺達はもう少しゆっくりしてようか」
「へいへーい」
そしてあたしは、黒塗りの車に乗って家へと帰った。
ーーーーー…
「着きましたよ」
運転手の男がそう言って車を止めた。
「ねぇ、栞里…」
「…うん」
車を出てすぐに目に着いたのは、二階の部屋からこちらをじっと見る父さんの姿だった。
「なんか、パパ怒ってるみたい…」
「朱理は心配しなくていいよ。…あれはあたしに向けられてるんだから…」
「うん、…パパ優しいけど、怒ると別人みたいになっちゃうもんね。なにかあったらすぐに言ってよ?」
「ありがと、あたしもう行くね」
「バイバイ」
朱理に手を振り、運転手に頭を下げて大きな鉄格子の門を潜った。