自由を求めて
〜父 Sido〜
会社で会議をしていた時、栞里の学校から電話があった。
『九条さん、今そちらの栞里様がが見知らぬ男の方と車に乗って学校を出たと、学校中で噂になっているのですが』
その話を聞いて俺の中で黒い靄が広がった。
九条の娘ともあろうあいつが、学校をサボるなんて…
「ハァ、…申し訳ない、ちょっと急用が出来たから今日はこの辺で失礼するよ」
「えっ、社長!」
「すまないね。相馬くん、車を出してくれ」
「かしこまりました」
俺はスマホを手に取り栞里に電話を掛けた。
電話の向こうからは栞里声と、数え切れないほどのバイクや男のような声も聞こえた。
今すぐ帰るように伝え、電話を切った。
「龍也様、あまり栞里様を責めないであげてはくれませんか?」
「君は栞里の味方なのか?」
「そうではございません。…ただ、栞里様はもう高校生で年頃の女性なのですよ?」
「いいや、あいつはまだまだ子供だ。親である俺が側で見ていないとなにも出来ない、ただの子供だ。…それに栞里には将来、九条家の跡取りとして次いでもわらないと困る」
そうだ、俺がここまで作り上げた全てを無駄にしないためにも俺には栞里が必要なんだ…
そんなことを思いながら家に着くと、しばらくして門の前に黒い車が止まった。
中から出て来たのは紛れもない栞里だった…
そしてその後ろに見えた、開いた窓の向こうにいる男。
……害虫が