自由を求めて
〜栞里Sido〜
ガチャ…
「お帰りなさいませ栞里様、龍也様が待ってますよ」
「うん、ありがと相馬さん」
「いいえ、鞄お持ちします」
にっこりと笑いながらあたしの手から鞄を取り、歩き始めた相馬さん。
「…ねぇ相馬さん」
「なんでしょう?」
「父さんって、…あたし達のことどう思ってるのかな…?」
「それは本人に直接聞いてみてはいかがですか?」
それが出来ないから相馬さんに聞いてるのに…
「…いや、やめとく。それより早く行かないと」
「クスッ、…そうでしたね、ではどうぞこちらです」
相馬さんに通された部屋、そこは父さんの書斎だった。
大きな皮の椅子に腰掛けこちらをじっと見つめる父さんは、いつもとは違う雰囲気を醸し出している。
ゾッとするほど恐ろしいものだった。
「…栞里、さっきの男は誰だ?」
「あ、あれは…っ」
「俺がなにを言いたいかわかるか?」
「……うん」
「それならいい、お前に悪影響を及ぼす奴はたくさんいる。安易に近付いては九条家の名に泥を塗るようなもんだ」
そんなこと分かってる…
「もう部屋に戻りなさい、それと明日学校に行ったら先生達に謝りなさい」
「…うん」
それだけ言い、あたしは書斎を出た。