自由を求めて
「まったく、朱理にも困ったものだ。毎日泥だらけで帰って来て、もう少し九条家の娘であることを自覚してくれないと…その点、栞里はしっかり勉強もして父さんの言うことも聞いてくれて、本当に助かるな」
「…うん」
微笑む父に胸が苦しくなる。
父さんのことは好きだ、今まで男手一つであたしと朱理を育ててくれたから。
九条家の長女はあたしなんだから、朱理の分まであたしが頑張らなきゃいけないのは分かってる。
「ご馳走様」
「なんだ、もういらないのか?」
「うん、もう時間だから」
「そうか。それなら相馬くん、俺ももう出るからあとは頼むね」
「かしこまりました」
この家では随分前からお世話になっているベテランの相馬さん。
優しくて仕事が出来る、頼りになる人だ。
「それじゃあ栞里、父さんもう行くな」
「うん、行ってらっしゃい」
父を見送りあたしも部屋に戻ると制服に着替えた。
上下が繋がった膝上の薄い青のボックススカート。
腰に白くて細いベルトを付けたら着替え完了。
「…ハァ、やだな」
「栞里様、ご準備はよろしいですか?そろそろお時間なので」
「あ、うんっ、出来てるよ」
「それでは行きましょう」