自由を求めて


「ま、いっか。つか栞里、お前お嬢様なんだろ?んな怪我して帰ったら家の奴らうるせぇんじゃねぇの?」

「あー…平気だよ、言わなきゃ気付かれないし、転んだとでも言っておけばいいよ」

「適当だな、本当にお嬢様か?」

「失礼な、あたしはれっきとした九条家のお嬢様です」



そう言うとあたりはシーンと静まり返った。



「…どうしたの?」

「え、栞里…今なんて…」

「え?なにが?」

「君、今…九条って…」

「……………あっ」



その途端、全員の顔が青ざめた。


しかも…




「九条って、朱理さんと同じ名字だよなっ…」

「ま、まさかそんなわけ…」

「栞里ちゃんって、姫さんと姉妹なの?」



バレた…



「えっと、朱理の姉です…」

「「「うえぇぇぇぇっ!!?」」」



キィィィ…ィィン


み、耳が…




すると急に動き始めた男達。


用意されたのは黒くてちょっとボロいソファ。

そこに綺麗な白い布を敷いて1人の男があたしの背中を押しそこに座らせた。



「え、なに…?」

「喉乾きませんか!」

「へ、平気…」

「暑くないっすか!」

「あ、うん…大丈夫」



ガランと全員の態度が変わった。


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