自由を求めて
「あははっ、皆慌てすぎじゃない?」
「だ、だって朱理さんのお姉さんだぞ!これが慌てずにいられるかっ!」
「そうだぞ!」
あぁ、そういうことか…
あたしが朱理の姉だと分かった瞬間、皆が態度変えたのって…
「…ねぇ、あたしが朱理の、お姫様の姉だからこんなふうにするの?」
「当たり前じゃないですかっ!」
「朱理さんのお姉さんにあんな態度とってたなんて総長達に知られたら、俺達ぶっ飛ばされちゃいますよ!!」
そうか、あたしはここでもこういう扱いなのか…
九条だから、大切なお姫様の姉だから
皆そう言って同じ態度をする。
壊れものを扱うみたいに。
あたしは物じゃない、ご機嫌をとるためにそんなことされたって嬉しくない…
「栞里さん?どうかしたんですか?」
「う、腕が痛いんですか!?」
やだ…
「栞里さん、大丈夫ですか?」
「顔色が悪いですよ!?」
「おい誰か水持って来い!」
やめて…
「おいっ!栞里さんはそんな安っぽいもん飲まねぇぞ!」
もう、本当に…
「だから違うっつってんだッ…」
「ねぇっ!」
突然大声を上げたあたしに驚いたのか、声がピタリと止んだ。