自由を求めて
姉と妹
〜朱理Sido〜
栞里が出て行って、数時間が経った。
「うちもそろそろ帰らないと」
「なら俺が送るよ」
「ありがと響くん!」
うちの送り迎えは大体が響くん。
機嫌がいい時はたまーに恭くんも着いて来る。
「じゃあね、また明日」
恭くんと海斗に手を振り部屋を出る。
「ねぇ響くん…」
「ん?なに?」
「恭くんって、やっぱり栞里のことが嫌いなのかな…」
「うーん…嫌いとかじゃなくて、ただここのルールを守ってるだけだと思うよ」
ルール?
「白龍では代々、この倉庫に入れる女の子は1人って決まってるんだ。それが姫なんだよ」
「へぇ〜…あっ、だから恭くんは栞里に出てけって言ったの?」
「うん、恭弥は総長だからね。先代の決めたルールは守りたいんだよ、それは俺達を守るうえでの恭弥の意思とも言えるよ」
そんなのは見ていれば分かる。
恭くんは無愛想だけどいつも、うちらのことを考えてくれる。
仲間思いのリーダーだ。
「恭弥はきっと、栞里さんに危ない目にあってほしくないんだよ。族の世界は全てが良いこととは限らないからね、俺達だって他の族からも狙われたりするしね」
「……うん」
そうだよね、栞里には悪いけどこれは恭くんが決めたこと…
ごめん栞里
やっぱりうち、そっちには戻りたくないよ…