溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】


じろりとにらむけど、新城さんはデスクにもたれかかるような格好で、腕組みをして質問してきた。


「お前、どうしてSPなんかになろうとしたんだ?」


その顔はにらまれていても全く動じていないみたい。


「どうしてって……機動隊の隊長が推薦してくれたからです。話を聞いて、機動隊よりもやりがいがありそうだと思ったので」

「やりがい?どのへんが?」

「……直接、人を守れるじゃないですか」


機動隊では、海外からのVIPが来日したときに、集団で盾を持って壁を作るとか……そんなことしかしてこなかった。

もちろん何も事件が起きなかったのはとても良いことだし、壁を作ることに意味がないとは思わない。それだって重要な仕事だ。

けど、私はもっと、警護対象者を近くで守りたかった。

そんなとき、隊長からSP試験を受けないかという話をもらった。

隊長としては、扱いが難しい女の私を、単に追い出したいという気持ちもあったのかもしれないけど……。


「遠くから見てるとかっこいいかもしれないけど、お前の持ってるイメージと現場はだいぶ違うだろうな。本当は事件を起こさないようにするのが俺たちの仕事。なのに、事件が起きなければ俺たちは『ただのお飾り』と叩かれる」


ただのお飾り……SPはVIPのアクセサリーということ?


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