溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「新城さん……さっき、撃たれてませんでしたか……?」
後ろから見ると、思い切り胸の辺りに銃弾が当たったような気がしたんだけど。
「撃たれたよ。でも」
新城さんがスーツを脱ぎ、シャツのボタンをそっと開く。
そこには、防弾チョッキと見られるものが。
「いつ着たんですか!?」
「そりゃ、出動する前だろ。人が集まる場所だから、もしかしてと思ってな」
SPは武器が取り出しやすいように、スーツのボタンを開けておくのが基本。
けれど招待客に防弾チョッキ丸見えではさすがに怖がらせてしまうだろうと、シャツの中に着ておいたらしい。
そういえば、いつもより胸板厚いような。
無事とわかった今でも、そのシャツに空いた穴を見るとぞっとした。
チョッキを着ていなかったら、絶対に助からなかった……。
「それよりお前、顔殴られただろ。早く冷やさないと。立てるか?って、その足じゃ無理か」
無理と勝手に判断した新城さんは、さっと私を抱き上げる。
脇の下に手を入れられ、もう片方はひざ裏に。
「きゃあ!」
「黙ってないと、目立つぞ」
「う、うぅ……」
これって、なんていうんだっけ。
赤ちゃんの横抱き?じゃない、えっと……お姫様抱っこだっけ?
絶対いやだ!恥ずかしい!