溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
松葉杖をつかい何とか体勢を整えるも、強い痛みが襲い、顔をしかめるのを堪えられなかった。
新城さんは、大丈夫だろうか?
相手がまだ動けないことを確認して、顔を彼の方に向ける。
すると、彼は警棒を左手で持ち、敵に飛び込んでいくところだった。
──スパン!
また乾いた音がする。
至近距離で放たれた弾丸は、新城さんの頬をかすめる。
けれど彼は、すっと目を細めただけで、ひるまずに敵に警棒を突き出した。
「うぐっ!」
みぞおちに警棒を叩きこまれた敵は、その場で腰を折り曲げ、激しく嘔吐する。
「紫苑!撤退するぞ!」
敵が動けないのを確認すると、新城さんはやっとこちらを向いた。
「え、あ……はい!」