溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
8・暗闇


次の日。

最初に班長が言っていた、国分父の、外国との会談が二日後に迫ってきた。

今日は国分邸で、国分親子の警護についている二班が合同で警護計画についての会議を行う予定。

テロリストからは相変わらず脅迫も犯行声明もなく、彼らの目的が本当は何なのかはわからない。

ただ、今回は外国のVIPも来るし、国分外務大臣の今年一番の大仕事と言われている会談なので、警戒するにこしたことはないだろうということだ。

国分邸では警戒を強め、国会への行き来も、いつもよりSPの人数を増やすそう。


「けど、私は行けないんだよね……」


捻挫の痛みは、最初の頃に比べるとだいぶマシになってきている。松葉杖ももう必要ないだろう。

無理をすればじゅうぶん出動できるとは思うけど、マルタイ側に拒否されていては手も足も出ない。

男の人に嫌われるのは昔から慣れていたけど、やっぱりこれはきついな。

松葉杖は家に置いて、右足を庇いながらとぼとぼと自宅から駅への道を歩く。


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