溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】


「詳しくは調査中だが、どうやら何者かに襲撃を受けたらしい」


えっ、襲撃。

元総理が、誰かに命を狙われたってことか。大丈夫なの?


「すでに避難は完了しているらしいが、一週間後にはアメリカの外務大臣と重要な会談を控えているそうだ。敵はその会談を阻止するのが目的かもしれない。それまで警護人員を増やしたいらしい」

「わかりました。では現場に向かいます」


指名された高浜さんと矢作さんが立ち上がる。


「残りの3人は、国分議員の警護に向かってくれ」

「え?元総理じゃなくて、国分議員?」


大西さんがきょとん顔で聞きなおす。


「そう。元総理の息子。2世議員だな。元総理の希望で、そちらにもSPをつけることになったらしい」


普通、警視庁のSPは主要政党の代表者や閣僚以外の国会議員の警護はしない。

警護を必要としている人の多くは、民間SPを利用している。

今回は例外みたい。


「今回は既に元総理が襲われている。何かあった時に連携がとれないと困るからな」


新城さんが私に説明するように捕捉する。

なるほど。たしかに同じ班の人間で連絡を取りあえば、他の機関よりも警護がスムーズにいくだろう。

国分議員の警護に着くのは、前に呼ばれていない3人。

つまり新城さんと大西さんと……。


「は、班長!私も現場に出ていいんですか?」

「うん、警護デビューおめでとう。他の二人もいるから、安心していってらっしゃい」

「ありがとうございます!」


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