溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「あなたが、私をおびき寄せて拘束した。その理由は後でいいです。とにかく、ひとつだけ真実を教えてほしいことが」
「なに?」
「新城さんが撃たれたというのは、本当ですか? それとも、私をおびき寄せるためのただの嘘ですか?」
早口で聞いた私を、国分議員は不思議そうな顔で見つめた。
「そんなの、嘘に決まっているじゃないか。どうして俺がSPの怪我の報告なんてしてやらなきゃならないんだ」
ああ、そうか。こいつはたしかに、自分の身の安全にしか興味がない人物だった。
きっとSPが目の前で何人撃たれようが、そんなことはどうでもいいと思うだろう。
とにかく、新城さんは怪我をしていない、と。
ホッとすると同時、胸がむかむかとしてきた。
「では、改めてお聞きします。私はこんな待遇を受ける理由に心当たりがありません。教えてください」
国分議員をにらむと、彼はそっと指で私のあごをとらえた。