溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
そうだったんだ。新城さんは自分で、あるいは同僚や探偵に頼んだのか、とにかくあの事件のことを調べ続けてくれていたんだ。
「お前たちは本庄を消し、すべてうまくいったと思っていた。けれど、ひとつだけ気がかりがあった。それは、一人娘が行方不明になったこと。だろ?」
新城さんが国分議員に同意を求める。
けれど当然返事はなかった。その態度が、新城さんの発言が真実であることを証明していた。
父は、国分外務大臣に犯してもいない罪をなすりつけられ、口封じのために殺された。
目撃者だった母も、一緒に。そしてきっと、私も殺されるはずだったのだろう。
その歪んだ顔を見ていたら、どうしようもなく怒りがこみあげる。
こいつの父親は、私の家族を自分の都合でめちゃくちゃにした。
それなのに、自分はそれまでどおり、家族と一緒に幸せな暮らしをしてきたんだろう。