溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「一ノ瀬は、ご両親は健在なんだっけ」
「え?ああ……はい。二人とも元気です」
「ふうん。仲良いの?」
「すごく良いわけでもないですけど……まあ、普通だと思います」
「そっか。悪くないってことは、いいことだな」
新城さんは飲むヨーグルトを一口飲んでうなずいた。
いったい、なんでそんなことを聞くんだろう?
「お前さ」
今度は何だ。
新城さんのクールな表情からは、その先になんと言われるのか全く読めない。
「小さいころは、どんな子供だった?」
「え……」
「おてんばだった?意外におとなしかったとか」
小さいころって、どれくらいの時のことだろう。
言われて思い出してみるけど、園児だった頃のことなんて、全く浮かんでこない。
「……記憶があるのは小学生くらいからですけど……大人しかった方じゃないかと思います」
「そうか。友達はたくさんいる?」
「高校まではいましたよ。今はそれぞれ忙しくなって、あまり会えませんけど……って、これは何の訊問ですか?」
そして私も、なんで聞かれたことにいちいち真面目に答えてしまったんだろう。
質問すると、新城さんはふっと薄く笑った。
「お前のことを知りたいんだよ。惚れた相手のことをさ」
出た。意味不明セクハラ発言。