溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「お願いだから、あきらめないで」
血に濡れた両手で、新城さんの大きな手を握った。
それはまだ、温かい。
「好きです、新城さん」
うっすらとしか開いていなかった新城さんの目が、一瞬丸くなった。
まるで、信じられない知らせを受け取った人のように。
「子供の頃から、好きでした」
今度は、私があなたを守ってみせる。
あのとき、小さな体で私の命を救ってくれた、あなたのように。
「お願い。もう一度抱きしめて。もう一度、キスをして。もう、嫌がったりしないから」
言っている途中で、こらえきれなくなった涙が頬を伝って、落ちた。
再会してから今までのことが、映画の予告編のようにまぶたの裏を流れていく。
嫌だ。縁起でもない。
あなたは私が、絶対に助ける!