溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】


「高浜さん、お願いします!」


涙を拭いて膝立ちになり、新城さんの体の真上にある天井板に手をかけた。


「ええ、いっきに片付けましょう」


上の瓦礫は、まだいくつか残っている。

けれど私たちはそのまま、天井板を動かすことにした。

息を吸って、歯を食いしばる。

口の中で煙のにおいがする。けれど、かまってはいられない。

全身の力をふりしぼり、天井板を持ち上げる。


「せーのっ!」


高浜さんの方が背が高く力が強いため、斜めになった板から私の横へ、瓦礫が斜めに滑り落ちていく。

手がちぎれそうなほどに痛い。

立ち上がった足の裏は熱く、体が今にも燃え上がりそう。

それでも渾身の力を込めて、私は腕を伸ばした。

高浜さんが、浮いた板の下に滑り込む。

私も同じようにして、板の裏から、思い切り手のひらを突き出した。


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