溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「でやあああああっ!」
ガラガラと、残った瓦礫が床に落ちて積もりはじめた灰を巻き上げる。
その上に、私たちがはね飛ばした天井板が、落下した。
──バキイッ!
厚い板は、落下の衝撃で真っ二つに割れた。
「はあ、はあ……げほっ、げほっ」
肺が熱い。喉が痛い。
同じようにせき込みながら、高浜さんが新城さんを抱き起す。
そして、その肩に担ぎあげた。
「煙を吸うなよ、新城」
「高浜さん……」
「行きましょう」
これ以上の長居は無用。
高浜さんと私は、燃える屋敷の中を、姿勢を低くしたまま歩いた。
担がれた新城さんは、いつの間にかまたまぶたを閉じていた。