溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「……ほんと、綺麗になったよな」
「え……」
「思ったより楽しそうな毎日だったんだな。安心した」
何、それ。
まるで、久しぶりに会った親戚のおじさんみたいな台詞……。
「新城さん……もしかして、私たちどこかで会ってますか?実は、中学や高校が一緒だったとか」
私が覚えていないだけで、新城さんは私を知っているのかもしれない。
それならば、今までの謎めいた態度にも合点がいく。
けれど、新城さんは静かに首を横に振った。
「俺とお前は3歳違うだろ。お前が入学してきたときには、俺は卒業してる」
「あ……そうか」
じゃあ、さっきの言葉はいったいどういう意味?
じっと見つめると、新城さんも私を見つめ返す。
「教えてやろうか。俺が何を考えているか」
「教えてくれるんですか?」
「お前がこの警護から手を引くならな」
なにそれ。
期待したぶん、裏切られたような気がした。
眉間にシワを寄せた私に、新城さんは囁く。