溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】


それから数日、俺は学校を休んだ。

外を出歩いたら、あの男たちに見つけられ、捕まってしまうのではないかと思っていたから。

そうして見ていた朝の情報番組で、ひかりの父親が某企業から賄賂を受け取り、その発覚を恐れて一家心中しようとしたというニュースが流れていた。

違う。嘘だ。おじさんとおばさんは、あの男たちに殺されたんだ。

決して、自分たちで命を断とうとしたのではない。


『そして、当時自宅にいたと思われる、長女の本庄ひかりさんが行方不明になっており、警察では行方を探しています』


テレビの中のアナウンサーが、淡々と言う。

行方不明?

どうしてそんなことになったんだろう。

中河のおじさんが、ひかりを助けてくれるんじゃなかったのか?

とにかく、行方不明ということは、あの家で彼女の遺体が発見されていないということだ。

きっと、どこかで生きてくれている。

俺はむりやり、そう信じこもうとしていた。


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