溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
『そんなの、いらない。ひかりは、どこにいるんですか』
『それは言えない。きみのことを信用していないわけじゃないが、敵は強大だ。居所を察知されるようなことがあったら、こんどこそ彼女は殺されてしまう』
そんな。
また会えると約束したのに。
ひかり、きみはいったいどこにいるの。
『俺が黙っていた方が、ひかりにとっていい』
確認するように呟くと、おじさんはうなずいた。
『そういうことだ。もう、彼女の行方を探さないでほしい。このことはすべて、忘れたふりをするんだ』
『そうしないと、ひかりも、俺も、俺の家族も危ない』
『きみは頭がいいね。全部説明しなくてもわかってくれる』
そんなことない。
俺がこれからとるべき態度はわかったけれど、どうしてこんなことになったのか、全然わからない。
まさかこんなふうに、引き裂かれることになるなんて。
涙をにじませた俺の頭を、おじさんが優しくなでる。
そんなふうにしてほしくない。
嫌がるように首をふると、おじさんは苦笑した。