溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
そんなところに、国分のアホ息子の警護を言い渡されてしまう。
さて、これはどうしたものか。
とにかく彼女を危険から遠ざけるためにプロポーズをし、なんとかこちらを振り向かせようとしたが、すべては裏目に出てしまった。
いままでろくな恋愛をしてこなかったらしい彼女は、俺を警戒し、どう反応して良いのかわからず、ひたすら困惑しているといった表情を浮かべていた。
俺自身、女性に言い寄られることはあっても自分から誰かと深く関わろうとしたことがそれまでになかったから、彼女の反応には正直困ってしまった。
国分が彼女の存在に気づく前に、SPを辞めてもらえないだろうか。
もし国分が本当に本庄一家を消そうとしたなら、彼女はもう一度、命を狙われてしまうかもしれない。
そう思っていたのに、真摯に任務に向かう彼女を見ていたら、いつからか応援したいような気持ちにもなってしまっていた。
気づけば、俺は“一ノ瀬紫苑”を好きになってしまっていたんだ。