溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「やっと会えたな」
優しい声が、耳たぶをくすぐる。
温かい腕の力を全身に感じ、涙がこみ上げてしまう。
やっと会えた。その通りだ。
私たちは、たくさんたくさん遠回りをして、やっと、本当の意味で再会できたんだ。
「私……」
無数の言葉が喉を一気に通ろうとして、逆に詰まってしまったみたい。
言いたいことや聞きたいことがたくさんあるのに、なかなか言葉にならなくて、代わりに涙が溢れだす。
そんな私を、新城さんは黙って抱きしめていた。
失ってしまった二人の時間を、かき集めるように。
やっとつかんだ希望を、離すまいとするように。