溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
過去の世界は、たしかに素敵だった。
私たちは今よりずっと幼くて、この世の汚いモノなんて、ほとんど見えていなかった。
かなうあてのない、だからこそ純粋な約束。
記憶を失っても、私の魂はきっと、ずっとそれが果たされるときを待っていた。
失ったものは取り戻せないけれど、それを嘆きはしない。
新しい幸せを二人で探して生きていこう。
初恋はまだ、はじまったばかりなのだから。
執行猶予期間は終わり。
さあ、溺愛のお時間です──。
【end】