溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】


しどろもどろになってしまった三田さん。

どういうことだろうと思っていると、国分議員が横から口を出す。


「俺は女の子なら歓迎だよ。さすがSP、美人だな」


いつの間にか肘をついて、こちらをにやにやと嫌な笑みを浮かべて見つめている。


「名前は?SPちゃん」

「……一ノ瀬です」

「ふーん。一ノ瀬ちゃんね」


と言いながら、国分議員は私の胸ばかり見ている。

こ……んの、アホ息子!見た感じ、30代前半のくせして!


「あのっ、紫苑ちゃんの胸が大きいからって、あからさまに見るのやめてくださいよ。そりゃあ、白シャツのボタンとボタンの間に隙間がちょっとできてるのはエロいですよ。スーツの前を開けているから、よりエロいですよ。でもっ、そんなに見たらダメです!」


大西さんが私の前に立って、国分議員に抗議する。

いやいや、あなたの方がよっぽどセクハラ発言してますよ……毎日どこ見てたんですか。


「俺は何も見てないし、言ってないよ。さて、じゃあ一ノ瀬ちゃん、24時間そばにいて守ってもらうとしましょうか」


国分議員が立ち上がり、おもむろに私の肩を抱こうとする。

どうしよう。この場合、どうするべき?

SPとしては、大西さんみたいにマルタイに反抗するなんて、本来ならしてはいけないはず。

けれど、正直触られるのは嫌だ。

悶々と悩んでいると、新城さんがすっと私の手を引いた。

反射的に踏み出した足は国分議員から離れ、新城さんへと引き寄せられる。


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