溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
3・不意打ち
気を失ったテロリストたちが駆け付けたパトカーに乗せられて連行されていったあと、現場に高浜さんと矢作さんがやってきた。
ちなみに国分議員はすっかりビビッて、おとなしく部屋の中にいる。
部屋の前には私と新城さん、部屋の中では大西さんが警護についていた。
「あれ、どうしたんですか高浜さん」
「配置換えがあったんだ。外務大臣の方は他の2班が合同で請け負う。こっちも人数を厚くしたいそうだから、俺たち特殊班全員で警護にあたることになった」
そうか、3人だけじゃ一人ずつ休憩したとしても、その間は二人だけで警護することになってしまうものね。
「テロリストぶっとばしたんだって?やるじゃないか、一ノ瀬」
矢作さんが笑顔で私の肩を叩く。
「もっと早く、マルタイを安全な場所に誘導するべきでした」
国分議員がごねたとはいえ、駐車場にいる時間が長すぎた。
反省していると、高浜さんが柔らかい笑顔を私に向ける。
「いえ、あなたはよくやってくれました。これからもこの調子で頑張ってくださいね」
「ありがとうございます」
不思議な空気を持った人だな。彼が低い声で話すだけで、なんとなく気分が落ち着くみたい。
「このあと、どうするんですか?」
新城さんが聞く。