溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「このマンションは危ないかもしれないな」
「やっぱり、ホテルに移動ですかね」
「だとしたら、移動は深夜だな。そのうち篠田から連絡があるだろう」
テロリストにばれないように覆面パトカーで自宅以外に移動するのはわかるけど……篠田って誰?
きょとんとしていると、矢作さんがとっても嫌そうな顔をした。
「げー……今回の事件を担当する公安って、あいつなんすか」
公安。篠田さんって、公安の人なんだ。
ん?横を見ると、新城さんも眉をひそめている。
篠田さんって、嫌われ者なのか?
まあ、今回の事件を担当しているなら、そのうち直に会う日が来るかもしれないな。
「指示があるまで、休憩してきていいぞ。俺と矢作は、さっき済ませたから」
高浜さんがそう言ってくれたので、私と新城さんは一旦マンションを出ることに。
可哀想に、じゃんけんで新城さんに負けた大西さんは、時間差で休憩に入ることになった。
気が抜けた途端、お腹が空いた。
時計を見ると、既に20時を回っている。
「何食べに行く?」
夜風に吹かれながら、新城さんがこちらに聞いてくる。