溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
『小さいころは、どんな子供だった?』
ふと、そんな一言が頭の中で再生される。
そういえばあのとき、なぜか小学生時代のことしか浮かばなかった。
「小さいころ……」
ふと興味がわいた。
もう記憶にもない私の幼少時代は、いったいどんな子供だったんだろう。
高浜さんは午後から出勤すれば良いと言っていたし、少しだけ実家に行ってみようか。
七五三の写真くらいは、残っているはずだし。
そう決めると、体が疲れているせいか、やっと眠気がやってきた。
私は新城さんのことを思い出さないように注意しながら、まぶたを閉じた。