溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
大西さんが可愛い顔でファンタジーなこと言ってる。
「今、お前『大西さんが可愛い顔でファンタジーなこと言ってる』って思っただろ」
「ええっ!?」
矢作さん、私が思ったことをそのまま……まさか、心が読めるって本当なの?
「……大西、今日の下着の色は蛍光ピンクだな」
「いやーん、正解!」
高浜さんと大西さんまで!嘘でしょ!
ぽかんと口を開けてしまうと、高浜さんは苦笑した。
「そうか、知らなかったんですね。ちなみに大西は」
「目と耳と鼻が異常に良いんだよ」
「尾行や捜索をさせたら警察犬並だよな」
高浜さんの大きな手に、大西さんのふわふわ髪がなでられる。
大西さんは愛嬌のある顔で、『わん』と鳴きまねをした。
な、なんなのこの人たち。本気で言ってるの?
「俺たちは特殊班。特殊能力を持った変人の集まり」
矢作さんが他の二人を冷めた目で見ながら、そう説明する。
「そういえば、紫苑ちゃんの特技って?」
大西さんが興味津々と言うような顔で首をかしげる。
先読みの能力のことを答えようとして、ふと思い出した。
新城さんが『だから特殊班に配属されたのか』と、一人で納得していたことを。
私は変わった力があるから、特殊班に配属されたんだ。
それならそうと、あの時話してくれれば良かったのに。
「待って。それなら、新城さんも普通じゃない能力を持っているってことですか?」
聞くと、大西さんはうんとうなずいた。