溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】


「一応俺が、新人教育担当になってるから。よろしくな」


ええ?この気味の悪い人が、私の教育担当?

なぜ班長や高浜さんじゃないの?


「新城さん、くじで当たり引いたんだよー」


大西さんが笑いながら新城さんを指さした。

そういうことか……。


「じゃあ、わからなことがあったら何でも聞いてください。じゃあ新城、銃とかバッジとか、一通りの説明頼む」

「了解。行くぞ」


新城さんはドアのところまでスタスタ歩いていくと、振り返って手招きする。


「がんばってねー、紫苑ちゃん!」


あまり行きたくなくて躊躇していると、大西さんに背中を押されてしまった。

はあ……本当にここが、警備部警護課特殊班なの?

くじで新人教育の担当を決めるこの人たちが、警察官の精鋭、SPだとはとても思えない。

それに……。


「何してんだ、早く行くぞ」


まるでアイドルのような顔をした先輩、新城さん。

彼に触れた瞬間の、あの衝撃や違和感はいったい?

私は正体不明の胸騒ぎを抱えたまま、仕方なく新城さんの背中を追うことにした。




< 6 / 279 >

この作品をシェア

pagetop