溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
「一応俺が、新人教育担当になってるから。よろしくな」
ええ?この気味の悪い人が、私の教育担当?
なぜ班長や高浜さんじゃないの?
「新城さん、くじで当たり引いたんだよー」
大西さんが笑いながら新城さんを指さした。
そういうことか……。
「じゃあ、わからなことがあったら何でも聞いてください。じゃあ新城、銃とかバッジとか、一通りの説明頼む」
「了解。行くぞ」
新城さんはドアのところまでスタスタ歩いていくと、振り返って手招きする。
「がんばってねー、紫苑ちゃん!」
あまり行きたくなくて躊躇していると、大西さんに背中を押されてしまった。
はあ……本当にここが、警備部警護課特殊班なの?
くじで新人教育の担当を決めるこの人たちが、警察官の精鋭、SPだとはとても思えない。
それに……。
「何してんだ、早く行くぞ」
まるでアイドルのような顔をした先輩、新城さん。
彼に触れた瞬間の、あの衝撃や違和感はいったい?
私は正体不明の胸騒ぎを抱えたまま、仕方なく新城さんの背中を追うことにした。