溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
4.私も知らない私
国会終了後、高浜さんと矢作さんが同乗する車に乗ってホテルに現れた国分議員の警護につくことになったのは、運の悪いことに私と新城さんだった。
自分から希望したわけじゃない。班長が新城さんを新人教育係に抜擢したんだからしょうがない。
部屋の前まで高浜さんと矢作さんに送ってこられた国分議員は、捕獲されたリトルグレイを思わせた。
彼自体がすごく小さいわけじゃないけれど、両隣が屈強すぎて、議員がリトルグレイに見える。
入口で彼を迎えた後、二人で部屋の中での警護をする予定だったのだけど……。
「はっ!一ノ瀬ちゃんじゃないかー!」
国分議員が私の姿を見つけると、ただでさえ長い鼻と口の距離をもっと長くして近寄ってきた。
なに?どうして笑顔なの?
また気安く私に触ろうとした議員の腕を、新城さんがつかんだ。
「なんだよ。俺は一ノ瀬ちゃんに助けてもらったお礼をしようと思ってるだけなのに」
「お礼?」
「この前はテロリストから守ってくれてありがとう、一ノ瀬ちゃん。キミみたいな強くて綺麗な女の子、初めて見たよ。ぜひ俺の専属SPになってくれ」
は?この人なに言ってるんだろう。